TIスイムについてーTIスイムの歴史

1972年、テリー・ラクリンには大学卒業後の進路として2つの選択肢がありました。1つは小学校の夜間管理者で年収6400ドル、もう1つはUSマーチャント・マリン・アカデミーの水泳のヘッドコーチで年収1200ドルでした。年収がとても少ないにもかかわらずテリーは迷わず大好きな水泳のコーチを始めました。以降その選択を後悔することはありませんでした。

私は弱冠21歳でNCAA(全米大学体育協会)史上最年少の水泳のヘッドコーチになりました。コーチになって感じたのは、かつて水泳の選手として水泳に取り組んでいたときよりも、コーチとして水泳を教える方が自分には合っていたということです。コーチになって私は、まず長年水泳選手として持ち続けた疑問−人一倍努力をしても、なぜ自分は平均以上になれないのか? なぜ自分より速い選手はいともカンタンに自分よりも速く泳げるのか?−を解決することに取り組みました。 

私はコーチ初日から、その答えが「練習量」や「努力の度合い」ではなく、「水泳の美学」にあるのではないかという漠然としたものを感じました。そして上手な選手がきれいに泳いでいるのを見て、あまりうまくない選手にはその美しさをまねするように教えることにしました。  そのアプローチは自分が思っていた以上に成功し、最初のシーズンに最優秀コーチ賞を獲得して以来16年間、生徒たちは全国レベルの大会で様々な賞を獲得し、教えたどのチームも驚くべき成果を出しました。また1980年、84年、88年のオリンピック代表選考会にも選手を送り出すことができ、世界ランキングに入る選手もいました。

1988年のオリンピック代表選考会が終わった後、子供に対して親のように接しなければならないコーチの仕事に少し疲れたのと、自分の可能性を探すために水泳コーチをやめ、続く4年間は主に作家として生計を立てました。それでも教えることは大好きだったので、翌夏ニューヨークの大学でマスターズ・スイマーのキャンプで教えることで、水泳を続ける決意をしました。トータル・イマージョンの名前の由来は、大学で人気の外国語のコースから取ったもので、水泳にぴったりマッチすると考えたからです。 

●TIスイムはどのように作られたか

1988年、速く泳ぐためには「船の形」が「エンジンのサイズ」に匹敵するほどの影響があるという面白い考え方を提唱したビル・ブーマーに出会う機会を得ました。もともと私は1978年以来、バタフライやクロールの選手に直感的な方法でバランスを教えてきました。また水中の覗き窓をのぞきながら、壁キック後、ストリームラインを維持してけのびをしている時が最もスピードが速く、いったんキックやストロークをはじめると、多くの場合エネルギーは推進力より泡を立てるほうに費やされることに気がついていました。ビルの「船の形」とバランスの理論は、私の洞察に名前と理論的解釈を与えることになりました。その結果初期のTIマスターズ・キャンプは、なぜ効率の良い泳ぎは多くの人間にとって至難の業であるのか、そして人間の泳ぎの問題点に対する解決策を見つけるための絶好の実験場になりました。

TIスイムのキャンプでは、16年間の若者相手のコーチ経験とは全く違ったレベルの難問に遭遇しました。若者は自然に水泳技術を学び取り、ある程度長い期間練習させることができますが、大人は長年身についた癖や不安を克服して、じっくり集中して練習しなければならず、さらに限られた日数で上達させる必要がありました。このように大人を相手に水泳を教えた経験が、後にTIスイムの水泳練習法が次のような特徴を持つことにつながったのです。 

  1. だれもが理解できる、シンプルかつ明確な方法
  2. 結果を最も重視し、より少ない時間でより多くの改善を可能にするアプローチ
  3. 数回練習するだけで身につくことができて、生徒自身が自分のコーチになってチェックすることができる練習
  4. 単に技術を教えるのではなく、生徒の水泳に対する取り組み方に注目し、水泳を「流れるような動き」に変えることで自己実現を図る方法

●現在のTIスイム

水泳をいかにカンタンに楽しく習得できるようにするかは、今でも私にとってすごくおもしろいテーマです。コーチを始めて30年以上、教える喜びに胸を躍らせて毎朝目を覚ますことができることは、本当に恵まれていると思います。

また、TIスイムがあらゆる解決策を提供できるように、生徒たちが、常に新たな質問やチャレンジを投げかけてくれます。私たちが学んだ最も重要なポイントは、水中で動く人間の体は、いつも同じ領域に留まり、いかなる目的の水泳であろうと、同じ身体的法則に縛られているということです。

5歳児の最初のレッスンから、オリンピックメダル獲得のためのスイマー養成、75歳のスイミング・セラピー・プログラムを通じたレッスンまで、原理は同じです。TIスイムの現在の使命は、水泳をもっと楽しく、もっとうまく泳げるようになるために、これらの知識をできるだけ多くのスイマーの方々に広めることです。

テリー・ラクリン(トータル・イマージョン・スイミング ヘッドコーチ)

©Total Immersion, Ltd.